キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
今まで従うだけの人生、それでも特に不満はなかった。
でも、茉緒に出会って心からほしいと願った彼女の心を手に入れて、離したくないがために父に抗って、陸翔に反対されながらもどうすれば茉緒といられるか考えて、プロジェクトに躍起になって……。
淡々と流れるだけの景色が急激に速度を上げて世界までもが変わっていった。
息もつけないほどのスピード感だけど、意外と悪くない。
むしろ次はどうしてくれようとワクワクしている自分がいる。
茉緒のこともプロジェクトのことも多少の障害や困難も今は楽しくて仕方がない。
顔を覆ったまま、くくっとつい笑いが零れ、落ち込んでいたはずの俺の頭はもう切り替わっていた。
茉緒め、俺になにも言わずに音信不通とはいい度胸だ。
体調のことも言わず、ただただ心配ばかりかけやがって、どうしてくれよう。
突然目の前に現れたら驚いて逃げるか、うれしくなって抱きついてくるか。
(希望はもちろん後者の方)
体調が悪かったら心配だがもしもう回復してるなら、とにかく逢えなかった分、キス攻めにしてやる。
ああ、茉緒に逢うのが待ち遠しい。
陸翔が聞いたら結局はそこかというツッコミが聞こえてきそうだ。


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