キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
住む世界が違うという言葉が胸に突き刺さるも小走りに先を行く私を追いかけ浩紀は自分勝手なことを言う。
浩紀ってこんなに自己中な人間だったろうか?
ちょっと気弱だけど人の気持ちがわかる優しい人だと思っていたのに、少なからずかおりさんの影響を受けているのか今の浩紀はまるで別人だ。私の好きだった浩紀はいなくなってしまった。変わってしまった彼のことを少し寂しいと思う。
浩紀のたわごとを聞き流しながら早く家に帰ろうと無言で足を速めると、浩紀がイラついたように声を荒げる。
「俺たち上手くやってたじゃないか! まだやり直せるだろ? 俺のこと大好きだって何度も言ってたのは嘘なのか!?」
いくらなんでもそれには頭に血が昇った。
私の受けた屈辱も苦しみも浩紀はなにもわかっていないことに悲しいやら悔しいやら。もうすぐ家に着くというのに気づいたら振り返り悲鳴のように叫んでいた。
「裏切った人間を今でも好きなわけないでしょ!? なんて自分勝手なの? 私が辛かったとき助けてもくれずにかおりさんと一緒になって私を蔑んだこと忘れたの? そんな人どうして好きでいられるのっ!?」
「あ、いや……あれはかおりが……俺はかおりに騙されてたんだ」
自分のことを棚に上げてかおりさんのせいにしようとする浩紀に完全に失望した。悔しさで涙が滲む。ギロリと彼を睨み唇を噛むと口の中に鉄の味がした。
私の剣幕に押されて浩紀が言葉を失い気まずそうに視線を落とす。
そして私のカバンに目を付けるとがばっと顔を上げた。
「茉緒、そのキーホルダー……」
ハッとして咄嗟にキーホルダーを掴む。
浩紀ってこんなに自己中な人間だったろうか?
ちょっと気弱だけど人の気持ちがわかる優しい人だと思っていたのに、少なからずかおりさんの影響を受けているのか今の浩紀はまるで別人だ。私の好きだった浩紀はいなくなってしまった。変わってしまった彼のことを少し寂しいと思う。
浩紀のたわごとを聞き流しながら早く家に帰ろうと無言で足を速めると、浩紀がイラついたように声を荒げる。
「俺たち上手くやってたじゃないか! まだやり直せるだろ? 俺のこと大好きだって何度も言ってたのは嘘なのか!?」
いくらなんでもそれには頭に血が昇った。
私の受けた屈辱も苦しみも浩紀はなにもわかっていないことに悲しいやら悔しいやら。もうすぐ家に着くというのに気づいたら振り返り悲鳴のように叫んでいた。
「裏切った人間を今でも好きなわけないでしょ!? なんて自分勝手なの? 私が辛かったとき助けてもくれずにかおりさんと一緒になって私を蔑んだこと忘れたの? そんな人どうして好きでいられるのっ!?」
「あ、いや……あれはかおりが……俺はかおりに騙されてたんだ」
自分のことを棚に上げてかおりさんのせいにしようとする浩紀に完全に失望した。悔しさで涙が滲む。ギロリと彼を睨み唇を噛むと口の中に鉄の味がした。
私の剣幕に押されて浩紀が言葉を失い気まずそうに視線を落とす。
そして私のカバンに目を付けるとがばっと顔を上げた。
「茉緒、そのキーホルダー……」
ハッとして咄嗟にキーホルダーを掴む。