キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です

大切にしたいです

でも、それだけではだめなんだって思い知らされた有川さんの言葉。
あれからずっと考えていた。
「智成、私……」
「ん?」
「私ね、智成がいない間にひとりで冷静に考えようと思って。だから連絡しないようにしてたの。ごめんね。ずっと考えてたんだ、私は智成のそばにいていいのか、足手まといなんじゃないのか」
「茉緒?」
甘かった智成の表情が一瞬にして強張る。
困惑してるその頬をそっと撫でて私は続けた。
「私は智成の仕事のことなんてこれっぽっちも理解できないからサポートなんてできないし、支えるなんて大層なこともできないし、せいぜい好きなご飯作って待ってるしかできないから」
「ん? なに、言ってんだ?」
「智成が大変な思いをして仕事をしていても私はわかってあげられない。私は私の都合でわがまま言って智成のこと困らせて余計な負担をかけてしまっても多分気づかない。きっとこれからも智成に無理させてしまう」
「そんなことは……」
「ただ、好きだってだけで傍にはいられないんだって思った。だって、智成は大企業の御曹司さまで将来会社を背負って立つ人だから。これからもっと大変な立場になるんでしょう? 私は智成の役に立つことも理解してあげることもできなくて負担ばかりかけてしまう」
「そんなことないだろ、さっきからなに言ってんだよ? まさか、また俺とは釣り合わないとかくだらないこと言い出すのか? 子供までできたのに今更俺と別れるつもりか? そんなことっ」

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