キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「ちゃんと最後まで話を聞いて!」
怒る智成の顔をぐいっと両手で挟んだ。
驚いたように目を丸くして口を噤んだ智成に早口で自分の想いを告白する。
「お兄ちゃんが行方不明のとき智成が大変だったなんて私は想像もできなくて、夜中に倒れたって聞いて、その後逢ってたはずなのにただ疲れてるだけかなって思っただけで深刻さに全然気づけなかったのがすごく情けなくて後悔して、心配かけまいとなにも話さなかった智成に申し訳なくて」
「え、ちょっ……」
「でも!」
また口を挟もうとする智成の声を遮った。
じっとその瞳を覗き込む。
「でも智成には有川さんの方が相応しいって思うとすごく胸が痛くて考えるだけで辛くて、やっぱり好きでそばにいたくて、そんなことぐるぐる考えて、悩みすぎて体調を崩したんだと思ってたら寛子さんにつわりじゃないのと言われて……」
毎日悩み過ぎてふらふらしてて、バイトもちょっとだけ身が入らなくて、コーヒーとかケチャップの匂いで気持ち悪くなってるところをつわりじゃないの? と寛子さんに気づかれた。
そんなこと微塵も考えてなかったから驚いた私は頭が真っ白になった。
そんな私の背中を撫で優しくしてくれる寛子さんに泣きながら相談して、体調も悪いことだし一度実家に帰ったらどうかと提案された。そして実家に帰ってから産婦人科に受診して本当に妊娠してるとわかって……。
ここ数日の出来事を思い起こした後、モゾモゾ動き畏まって正座をすると智成を見つめた。
「智成」
「……ん?」
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