キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「茉緒は全然気づかなかったって言うが、そんなことないだろ。なにかと心配して気にかけてくれたしうまい飯を食べさせてくれる。それに俺を抱きしめて眠らせてくれたじゃないか。あれでほんとに癒されたし元気になった。茉緒は大いに俺の役に立ってるよ。それに、あれくらいで倒れたことが情けなくて恥ずかしすぎて話せなかった」
「そう、なの?」
少しは役に立ってるのならよかった。でも、倒れたこと恥ずかしくて言わなかったなんて意外だった。
首を傾げて見ると智成はバツが悪そうに肩を竦める。
「ああ。陸翔に今の働き方だとそのうちぶっ倒れると言われた後だっただけに余計に。でももうそんな心配いらない。俺には茉緒がいるから。こうやって充電させてくれれば倒れるなんて無様なことにはならないよ」
ぎゅっと抱きしめ私の肩に頭を乗せ甘えるようにスリスリしてきてくすぐったい。
でもとっても気持ちが温かくなる。
「茉緒がそばにいてくれれば俺は無敵なんだ。だからもう、俺のそばにいていいのかなんて悩まないでくれよ」
「うん、そう言ってくれてうれしい。でも無理はしないでね」
返事の代わりにぎゅっとまた強く抱き締める力が強くなった。
無理はしないとは言ってくれないのね、と、ちょっと残念に思って息をついた。
倒れた原因にあのテロ事件もあるのだから私が責められる立場にないとわかっているけどやっぱり心配。これからは私がしっかり智成の体調管理をしなくては! とひとり息巻く。
智成は私をぎゅっと抱き締めこめかみにキスをすると離れてポケットに手を突っ込みごそごそしだしだ。

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