キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「茉緒のおかげでプロジェクトは順調に進んでる。これが証拠」
掌に乗せられたのは青いケース。それがゆっくりと開かれると、中にはまばゆいばかりの光を放つ指輪が入っていた。
プラチナリングにローズカットのダイヤを取り巻くメレダイヤ。アンティークを思わせるその素敵なザインに魅入ってしまう。
これはもしかしなくても婚約指輪?
「これ……どういうこと? 私のおかげって、私なにもしてないけど?」
「今回の巨大ショッピングモールのプロジェクト成功のカギはこの宝飾ブランドcoco・ameria(ココアメリア)の招致だったんだ」
このブランドは役三百年の歴史を持つイギリスの老舗で世界的にも有名で、coco・ameriaのアクセサリーを身に纏うのはセレブのステイタスだというのは有名な話。
そしてcoco・ameriaの婚約指輪や結婚指輪は女性たちの憧れでもあった。もちろん私もそのうちの一人だ。
敷居の高いcoco・ameriaが日本初出店をするのだから話題沸騰なのは必至だろう。
「正直、畑違いの仕事に戸惑いもあったが、この指輪を茉緒に贈りたいと思ったらなにがなんでも口説き落として出店させようと思った」
貿易会社の秘書だった智成がいきなりなんの関わりもなかった老舗ブランドの出店要請を行うのだから大変だっただろう。でも智成は晴れやかな笑顔で私に言った。

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