キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「んっ、くすぐったい」
文句を言ってもお構いなしに笑いながらキスしてくるものだから、ついつられて笑ってしまった。
「うふふ、幸せ」
「俺も」
額を合わせて微笑み合って幸せを分かち合う。
よくよく智成の顔を見つめるとかっこよすぎてちょっと夢心地で、ああ、この人と結婚するんだな~とか、大好きだな~とか、出逢えてよかったな~とか、今までの色んな思いがあふれ出てくるようだ。
その瞳を見つめ続けてるとぽっと炎が揺らいだように見えて魅入られる。
そのまま近づいてくる瞳は伏せられてつられるように目を閉じた。
と、そこにコンコンコンコンッと忙しないノックの音が聞こえてパッと我に返った。
「おーい、話は終わったか~? 父さん帰ってきたから出てこーい」
「あ、はーい」
条件反射のように返事をして智成と目を合わす。
お父さんが帰ってきたということは……自分の左手に光る指輪を見た。
「さて、茉緒の父さんに殴られる覚悟で結婚の許しを請いに行かなくてはな」
「え、殴るなんてそんなこと」
うちのお父さんは温厚で人を殴るなんてことはしないと思う。
でも、智成は結婚前に茉緒を孕ませてしまったから怒り心頭だろうと言う。
確かに妊娠発覚した時には相手は誰だとしつこく聞かれてなんとか今日まで誤魔化してたけども。
心配すんなと智成は言って私の手を引き部屋へ出る。
部屋の前ではお兄ちゃんが壁に背を預けて腕を組みニヤニヤしていた。
「覚悟はできてるか?」
「ああ」
「ある意味、あの社長よりうちの父さんの方が怖いぞ」
「脅さないでよお兄ちゃん!」
完全に面白がってるお兄ちゃんに私は心配になって智成を見ると、心配ないと言って頭を撫でられた。
はてさて、ドキドキハラハラしながらの父との対面はいかに……。

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