キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
智成の実家にご挨拶に訪れたときには、お母さんとはすでに打ち解けていたからちょっとだけ緊張が解れた。
でもさすがに智成のお父さんはやっぱり威厳があってド緊張だったけど、何とか正気を保っていられた。
それよりもお父さんが苦手だという智成が私たちのことを説得する間頑張れとエールを送る。
そして約束の三ヶ月を前に結婚すると言われ最初は渋い顔だったお父さんも私たちのことを認めてくれ、結婚に条件を出したのは智成の手腕を見るためでもあり、決して結婚を反対してるわけではないと言ってもらえて安心した。
しかもお腹に赤ちゃんがいると聞いて順番が違うだろうと智成に怒ったものの孫ができるとあって喜んでくれた。
威厳のあるお父さんもふわりと嬉しそうに笑うととても雰囲気が和らいで私まで心が温かくなる。
「茉緒さん、あなたを心から歓迎するよ。智成のことどうぞよろしく頼みます」
「は、はい。こちらこそ、よろしくお願いいたします」
ドギマキしながら畏まるとお父さんは智成とよく似た目を細め優しく微笑んでくれた。
「智成、プロジェクトの件よい報告が聞けて良かった。思った以上に力を付けたな、よくやった。妻子を守り幸せにするのは夫の役目だ。家族の為にもこれからもしっかり精進しろよ」
「はい。父さん、ありがとう」
ホッとした私たちは目を合わせ微笑み合う。
お父さんに認めてもらったときのちょっと照れたような、それでいて誇らしげな顔をした智成のこときっと私は忘れないだろう。
苦手なお父さんに果敢に挑んだ智成を称賛したい。
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