キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
そして速やかに婚姻届けを出し私と智成は晴れて夫婦となり、四ヶ月が経った。
智成は本社の風間ホールディングスへ移り専務として忙しい日々を送っている。
秘書からいきなり専務へと役職が付くのは飛躍しすぎだろうと本社ではあまりいい顔をしなかった社員もいたようだ。
智成も気が進まなかったようだけど、プロジェクト成功の立役者なのだからそれぐらい妥当だとお義父さまの鶴の一声で異論を唱えていたものも黙ることとなったらしい。
さすが威厳ある風間ホールディングス代表取締役社長。
贔屓目なく(多少は入ってるかも?)智成を評価してくれてることに尊敬の念を贈りたい。
それに智成の優秀さは専務としても大いに発揮し親の七光りと影で妬んでいた人たちも舌を巻くほどだそう。
これはお兄ちゃん情報。
仕事が楽しいと生き生きと出勤していく智成を毎日見送る私は益々惚れ直してしまった。
私はというと、智成と二人暮らしになりバイトも辞めたことでのんびりと妊婦ライフを満喫している。
漸くつわりも治まり、ぽっこりとお腹も目立つようになり愛しい我が子がいるのだと実感できるようになった。
智成は日を追うごとに甘々なパパになっていくようで、忙しい仕事の中でもなるべく早く帰ってきては私を抱き締めキス攻めにした後、決まってお腹に耳を当て我が子に話しかけるのが日課になった。
パパだぞ~と一生懸命お腹に話しかけ、耳を当てては反応を伺う智成をかわいいと思ってることは内緒だ。
耳を澄ます智成の頭を撫でてるとぽこんとお腹の中で弾けた感覚にハッとした。
智成も目を見張り私を見上げた後、もう一度話しかけ耳を当てる。
「い、今、返事してくれたのか?」
興奮気味にまた智成が話しかけると、またひとつ返事をするようにぽこんと反応した。
「と、智成……わかった?」
「……ああ」
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