キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
呼びかけてきたくせに黙ったままのお兄ちゃん。
どうしたのかと思ったら、電話の向こうで微かにfive・fore・three……とカウントする声が聞こえる。
『zero! happybirthday MAO!』
いきなり流暢な英語で言われてびっくりした。
咄嗟に時計を見たらちょうど午前零時。
私の誕生日だ。
「あっはは、ありがと。あ、そこはサンキュか」
『おめでと。これだけは言っておきたいと思ってさ。日付が変わる瞬間なのが粋だろ?』
「そういうの、普通恋人にするんじゃないの? 妹にとかお兄ちゃん侘しいよ?」
『侘しくねえし! 俺にだって……あ、いや、それはいいや。素直に喜んどけ』
「喜んでるってば。で、俺にだってなに?」
まさかお兄ちゃんに恋人が?
ちょっとワクワクして返答を待っているとすっとスマホを奪われた。
「陸翔か、こんな時間に妹に電話とは余裕だな」
「智成っ」
いつの間に帰ってきてたんだろう、気づかなかった。
ソファーの後ろに立っている智成は私をちらりと一瞥すると「そっちはどうなんだ」とそのままお兄ちゃんと仕事の話をしだした。
ちょっと、それ私のスマホ……。

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