キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
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「茉緒~~!こっち!」
「お兄ちゃん」
駅前で待ち合わせして迎えに来たお兄ちゃん、陸翔の許に駆け寄る。
お兄ちゃんとは今年のお正月に実家に帰ってきたとき以来だから実に四カ月ぶりの再会だ。
癖のあるブラウンヘアにちょっとたれ目気味の目は愛嬌があり妹の欲目ではあるがなかなかのイケメンである。
昔から男女共に人気者でいい加減なところが玉に瑕だが自慢の兄だ。
「もう! 連絡取れないし、マンション行ったら火事になってるし! 心配したんだからね!」
お兄ちゃんの腕を取り早速プンプンと怒り出す。
「本当に大丈夫なの? 今どこに住んでるのよ? お父さんたちに話してないでしょ? 内緒にしてるなんて酷い!」
「茉緒、待った待った。まずは友達紹介すっから」
「友達?」
矢継ぎ早に問いただしていると苦笑いのお兄ちゃんはちらりと横を見た。
「会社の同期で友達の風間智成。今こいつんちに転がり込んでるんだよね~」
「え! この人の家に?」
横を見れば一七五センチのお兄ちゃんより十センチくらい背の高いその人は、ダークブラウンの長めの前髪をアップバングにしたかっちり系の印象を受ける髪型に、オーダーメイドだろうびしっと決まったスーツがよく似合っていた。
「わぉっ、めっちゃイケメン!」
「おーい、茉緒ちゃーん?」
お兄ちゃんの口がヒクヒクと痙攣してる。
でも、思わず声に出してしまったのも無理はないと思う。
鼻筋が通ってきりっとした眉と黒目がちのアーモンドアイに、色気のある薄い唇をしているその男性は面食いの私の好みど真ん中だった。
いや、世の中の女性全員が彼をイケメンだと認定するだろう。
うわあああ~こんな身近に完ぺきな人間っているんだ~と思わず感動。
「変なやつ」
彼、智成は私を見てふんと鼻で笑う。
そんな顔も色気があって笑われても見惚れてしまった。