キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
食後は少しゆっくりしようと、園内をふたりで歩いてるとちらちらと視線が気になってきた。
アトラクションを待ってたときもレストランでもそう。特に女性の熱視線にはすぐに気づいてしまう。
その視線の先には背が高くイケメンの智成サン。
注目されてる本人は気付いているのかいないのか、涼しい顔してらっしゃる。
ちょっと面白くない。
「ねえ智成。みんなが見てるよ?」
「え? どこを」
なにかあるのかとキョロキョロする智成。
それってわざと? それとも天然? 呆れて苦笑いが零れた。
そしてビッと人差し指をその頬に刺す。
「ここにいる、イケメンさんを見てるのよ!」
「え、俺?」
頬を刺されて変な顔になった智成は半笑いで私を見おろす。
あ、自覚してんなこれ。
オモテになる人はこれだから、やんなっちゃう。
私は女子がみんな智成を見て目がハートになってるのが気になってしょうがないっていうのに。
「別にいいじゃん、気にするなよ。俺は茉緒しか目に入ってない」
「なっ! またそんなこと言って~からかわないでよ」
調子のいいこと言って~。
ニヤリと笑う智成をじとりと睨む。
今日はやけに智成が優しい。
なんでも言うこと聞いてやるなんて言って、時々甘い言葉で私をドキドキさせる。
勘違いしちゃうからやめてほしい。
でも……。
「ねえ智成。今日は何でも言うこと聞いてくれるんだよね?」
「ん? ああ、もちろん」
「じゃあさ」
今日だけは夢見たっていいよね?

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