キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「ほら、茉緒こっち」
「ま、待って」
手を繋いで智成が人混みの中を先導する。
これからパレードが始まるからいい場所を取ろうとズンズン歩いていく智成に付いていくのがやっと。
はぐれないように手をキュッと強く握ると握り返されて、振り向いた智成が優しく微笑んだ。
智成は約束通り恋人のフリをしてくれた。
午前中の微妙な距離感からぐっと近づき、肩を寄せ合い写真を撮ったり、お店を巡ってお揃いのキーホルダーを買ったり、恋人らしいデートを楽しんだ。
屋台で味違いのチュロスを買ったときには「茉緒のもうまそうだな」なんて言っていきなり手首をつかまれ私の食べかけをぱくりと食べられた。
「ん、うまい」なんてのんきに言って、間接キス!! って私がアワアワしてるのを智成が面白がるおまけ付き。
もうっ! って文句言いながらも楽しそうに笑う智成に脱力してつられて笑ってしまう。
どんどん優しく甘くなる智成に勘違いしないようにと言い聞かせながら、でもやっぱりうれしくてドキドキふわふわ地に足が着いていないまま智成について行く。