キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です

まずはご飯食べに行こう、ということで連れていかれたところはこじゃれた居酒屋。
智成の住むマンションの近くにありよくふたりで食べに来ているそうだ。
「で、説明してもらいましょうか?」
料理を注文し、三人ビールで乾杯した後、私は隣にいるお兄ちゃんに向き直る。
「あっはは~……ハイ、答えます」
笑って誤魔化そうとするからじっとりと睨んでやると、前に座る智成も同じように鋭い視線が注がれていた。
ふたりに睨まれ観念したお兄ちゃんは話し出す。
上の階が火事に遭ったのは三週間ほど前。
お兄ちゃんは幸い仕事中で難を逃れたが、家の被害は免れず住める状態ではないため智成の家に居候させてもらっているそう。
その間に火事の後始末や次住むマンションを探したりと忙しくしていたそうだが、一週間前から海外出張に行っていて昨日帰ってきたばかりだという。
だから、いくら電話しても繋がらなかったのかとそれは納得した。
「お父さんたちに言ってないんでしょ? もう、お母さん聞いたら心配で倒れちゃうんじゃないの?」
「父さんたちには言うなよ? それこそほんとに母さんに倒れられたら困るから。俺はこの通りピンピンしてるし、火事の後始末もほぼ終わってるから。心配ない」
そんなことを言うお兄ちゃんに呆れはしたものの、両親に心配かけまいとする気持ちもわかるから今回は黙っておくことにする。
でも、今度なにかあったときには言ってよね! と念は押しておいた。

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