キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
『あ、それでね、茉緒』
言いにくそうなお母さんの声になんだろうと思った。
『浩紀くんがね。茉緒に会いたいって何回もうちに来てるの』
ドクッと嫌な心臓の動きに背筋が凍る。
「な、なんで今更?」
『会って、謝りたいって。茉緒の居場所を知りたがってるんだけど』
「やだっ、絶対言わないで! 教えたら駄目だからね!」
「茉緒?」
つい興奮して声が大きくなると後ろから智成が心配そうに私を呼ぶ。
我に返った私は電話の向こうでも心配してるお母さんにこそこそと伝えた。
「とにかく、浩紀と会う気はないから、そう伝えて。二度と関わらないでって言って。お願いお母さん」
『茉緒……』
ごめん、ほんとごめん。
お母さんは浩紀に何度も押しかけられて困ってるんだろう。
なのに、私は嫌な役割をお母さんに押し付けて逃げている。
恋にうつつを抜かしてる場合じゃなかった。
「茉緒、どうした」
電話を切ると心配してくれる智成に肩を抱かれて、寄りかかりたいのをぐっと堪えその手をやんわりと外す。
「ごめん、びっくりしたよね。でも大丈夫だから。もう寝るね」
「待て、茉緒」
何でもないと笑ってそそくさと部屋に行こうとしたのにあっさりと捕まった。
「大丈夫なわけないだろ? 聞かせてくれ。そんな顔のままの茉緒をほっとけない」
作り笑いはどうやら失敗だったらしい。
逃がさないと言わんばかりに強く握られた腕、真剣な面持ちの智成に私は逃げるのを諦めた。
言いにくそうなお母さんの声になんだろうと思った。
『浩紀くんがね。茉緒に会いたいって何回もうちに来てるの』
ドクッと嫌な心臓の動きに背筋が凍る。
「な、なんで今更?」
『会って、謝りたいって。茉緒の居場所を知りたがってるんだけど』
「やだっ、絶対言わないで! 教えたら駄目だからね!」
「茉緒?」
つい興奮して声が大きくなると後ろから智成が心配そうに私を呼ぶ。
我に返った私は電話の向こうでも心配してるお母さんにこそこそと伝えた。
「とにかく、浩紀と会う気はないから、そう伝えて。二度と関わらないでって言って。お願いお母さん」
『茉緒……』
ごめん、ほんとごめん。
お母さんは浩紀に何度も押しかけられて困ってるんだろう。
なのに、私は嫌な役割をお母さんに押し付けて逃げている。
恋にうつつを抜かしてる場合じゃなかった。
「茉緒、どうした」
電話を切ると心配してくれる智成に肩を抱かれて、寄りかかりたいのをぐっと堪えその手をやんわりと外す。
「ごめん、びっくりしたよね。でも大丈夫だから。もう寝るね」
「待て、茉緒」
何でもないと笑ってそそくさと部屋に行こうとしたのにあっさりと捕まった。
「大丈夫なわけないだろ? 聞かせてくれ。そんな顔のままの茉緒をほっとけない」
作り笑いはどうやら失敗だったらしい。
逃がさないと言わんばかりに強く握られた腕、真剣な面持ちの智成に私は逃げるのを諦めた。