キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「で、見つかったの? 新しいマンションは」
「それがなかなかなあ~。それに……」
困った顔をしたお兄ちゃんは宙に浮かせた視線を智成に移した。
「結構智成のマンション居心地よくてさ。このまま同棲でもいっかなと思って」
「ぶっっ! 言い方!」
ビールを飲もうとしていた智成が吹き出しそうになり慌てる。
「え、同棲って、まさか」
そこそこ女好きだと思っていたお兄ちゃんは新しい扉を開いてしまったのかと思って私は顔が引きつった。
智成は綺麗と言ってもいいくらいのイケメンだし、お兄ちゃんと並ぶと顔面偏差値はかなり高い。
これは腐女子がよだれを垂らしそうなカップルだと思わず思ってしまった。
「変な誤解するなよ? 俺らは友人以上の関係はないからな!」
智成は変な想像をしそうになった私に釘を刺す。
「あっはは、ちょっと面白いかも」
「陸翔!」
調子のいいお兄ちゃんは「今度智成のベッドにもぐりこんでみようかな」と、冗談言って智成に「ふざけんな蹴とばされたいか!」と怒られていた。
その後もついつい笑っちゃう会話が続き、ボケとツッコミみたいでなかなか息の合ったふたりは仲がいいんだなと微笑ましく頬杖を突きながら見ていた。

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