キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
***
朝起きると、いや、もうお昼なんだけど、私は裸で智成のベッドにいた。
智成はいない。
耳を澄ませても音がしないからもしかしたらいないのかもしれない。
私は、夢でも見ていたんだろうか?
智成に抱かれるなんて夢のような話を妄想して勝手に智成のベッドに潜り込んだんじゃないよね!? チョー変態じゃん!!
あまりにありえない状況に頭を抱え混乱してしまった。
暫くして我に返った後、とにかく智成がいない間に自分の部屋に戻ろう。そう思ったけど、足腰が立たなくてひっくり返りそうになった。
この、倦怠感に腹部の違和感。
改めて体を見おろすといたるところに咲いている赤い花。
「あ~、やっちゃったんだ」
私の第一声はこれだ。
夢でも妄想でもなく事実なんだとやっと理解した。
智成と寝ちゃったよ、どうしよう。
私、行為の中で箍が外れて好きだと連呼してしまった気がする。もう赤面ものだ。
智成も好きだと言ってくれた気がするけど本気だろうか?
思い出そうとすると何度も求められたやけに生々しい記憶が蘇ってきて慌てて頭を振る。
でも、だからってどうするの! 智成は私と付き合ってくれるの? もしかして私を慰めるためだけの行為だったとか?
ま、まさか一時の気の迷いだと、なかったことにされちゃう!?
……いや、それはあまりにも悲しい。
昨日智成に聞いておけばよかった。(そんな余裕なかったけど)
お兄ちゃんになんて話そう?
怒るかな? 呆れるかな? 許してくれるかな?
ああもう! ひとりで悶々としても仕方がない。
智成にちゃんと聞かなきゃ、どういうつもりで私を抱いたのか。
でも真意を聞きたいような聞きたくないような……。
ああどうしよう~!