キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
なのに智成はあろうことかそんな私の唇にチュッとキスをした。
「やっべえ、かわいい」
びっくりして固まってる私の頭を抱き込みそんなことを漏らす。
「ちょっ、ちょっと。睨んでる相手にキ、キスとか、かわいいとか、頭がおかしくなった?」
もがいて頭を上げると、不敵に笑う智成と目が合う。
「赤い顔して睨まれたってかわいいだけだぞ?」
「なっ……」
絶句。絶句しかありません。
なんだか恥ずかしすぎて穴があったら入りたい。両手で顔を覆って羞恥心に悶えた。
「ま~お?」
面白がって智成は猫撫声で私を呼ぶ。
急に甘くなった智成に目の下まで手を降ろし上目遣いで様子を伺う。
からかうためだけにこんな甘いなんておかしいけど、これはちゃんと聞かなくては。
「あの、智成、昨日のことは……現実?」
「なに? 夢だとでも思った?」
「なんか、信じられなくて」
自信なさげに呟くと、智成はよいしょっと私を膝の上に乗せこつんと額を合わせた。
「デートしたのも、抱いてって茉緒のおねだりも、好きだって言ったことも全部現実だよ」
「ちょっ、おねだりなんてしてないよ!」



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