キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
い、いや、したかも?
私が抱いてって言ったから智成は抱いてくれたわけだし。
うろ覚えだった最初のやり取りを思い出してウッと言葉が詰まる。
「いんや、したね。何度ももっと抱いてってねだられて俺喰われるかと思った」
「それは絶対言ってない!」
智成は大げさなこと言ってまた私をからかう。
くつくつ笑って、そうだっけ? なんて言ってとぼけるから胸をボンと叩いた。
もう一発! と思って手を上げたら難なく掴まれてぐっと引き寄せられる。
「彼女にねだられて燃えない男はいないんだよ。いくらでも喰われてやるから、いつでも言えよ?」
色気が半端ない。その燃えるような瞳だけで侵されそうだ。
鼻が付きそうなほど間近で妖艶に笑う智成にお腹の底からゾクリとした。
「かの、じょ?」
「そ、フリじゃなく、今日から俺たちは本物の恋人同士。よろしく、彼女さん」
色気を吹き飛ばしにかっと笑った智成。
はっきりと恋人だと言われて、私は心の底からほっとした。
ふにゃりと脱力して智成に凭れ掛かる。
「私で、いいの?」
「茉緒がいい。もう茉緒しか見えない」
私の頭を撫でながら優しい声が私の耳元で囁く。
幸せすぎて夢心地で、ぎゅっと智成の首に縋り付き私も耳元で囁いた。
「智成」
「ん?」
「大好き」
「俺も、好きだ茉緒」
フッと笑った智成に顔を上げた私も笑顔になる。
見つめ合うと引き寄せられるようにキスをした。



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