キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「ほら、茉緒浩紀と別れたばっかりなんだろ？　そういや別れた原因はなんだ？」
「は？　なんで今浩紀の話になるのよ」
いきなり違う話になって戸惑う。
智成のおかげで辛い過去も乗り越えられたと思ってるのに、しかも単刀直入に聞いてくるなんてなんてデリカシーがなんだ。
「あ、いや、気になってたからさ。なんかあったんだろ？　それこそ浩紀に浮気されたのか？」
「答えることはなにもありません」
あたふたしだしたお兄ちゃんに私は冷めた目で感情なく答えた。
浩紀のことはもう終わったことだし余計な心配かけたくないからお兄ちゃんに言うつもりはない。
「お、怒るなよ。これでも傷心隠して明るく振舞ってるのかと思って心配してるんだぞ？　茉緒には心から笑っていてほしいんだ。兄として少しでも力になりたいと思ってるんだよ？」
必死に言い訳する姿に本気で心配はしてくれてるんだと私にもわかるから、フッと息を吐くと肩を竦めて笑った。
「大丈夫だよ。そりゃ別れた直後は辛かったけど、こっちきたおかげで今はもう吹っ切れてるし。もう前を向いてるつもり」
「そっか、あ～うん。それならよかった。なんかあったら俺に相談しろよ？　一応これでもお兄ちゃんだからな。いつでも相談乗るから」
「うん。頼りにしてるよお兄ちゃん」
優しいお兄ちゃんに恵まれて私は幸せ者だよ。
でも、智成とのこと誤魔化されたのは騙されないよ。

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