キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「実は俺、また出張入っててそれどころじゃないんだよね」
困った困ったと、お兄ちゃんはこれ見よがしに智成をチラチラとみる。
智成は嫌そうに顔を歪ませ先手を取った。
「うちはだめだぞ? さっさとマンション決めて陸翔も出てけよ」 
「え~? いいじゃん。きっと楽しいと思うよ? 三人暮らしは」
「妹、暇なんだろ? お前がマンション探せばいいじゃないか」
ニヤニヤするお兄ちゃんに言い聞かすのは早々に諦めたのか、智成は私に向かって言い放つ。
ちなみに、最初に挨拶した時に呼び捨てでいいって言ったから遠慮なく呼び捨てで呼ばせてもらうことにした。
まあ、私が決めればいいのかもしれないけど、土地勘ないし、そもそもどう決めていいのかも一人暮らししたことないから契約とかもさっぱりわからない。
「ダメダメ、茉緒に決めさせたらとんでもない部屋に住むことになる! それは勘弁!」
「ちょっと、それどういうこと?」
おお‼ 怖! と両腕を摩るお兄ちゃんに憤慨。
ぶっと頬を膨らませてるとお兄ちゃんが耳元で囁いた。
「智成のマンション、チョー立派なんだよ。リビング広いし、ファミリータイプで部屋も四部屋あるから茉緒の部屋もあるし、それに、風呂はジャグジー付きだぜ?」
なんとも魅力的な誘惑。
お風呂好きには堪らないジャグジー付きのお風呂なんて、どんだけいい部屋に住んでるのよこの智成って人は!
お兄ちゃんのマンションもそこそこいいとこだったけど、それを上回る部屋の規模に驚く。
お兄ちゃんと同じ年で社長秘書だというけれどそんなに儲かるのだろうか? 恐るべしイケメンさまだわ。

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