キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「あー、一週間ぶり。待たせたか?」
ちょっとぎこちない智成の言葉に私はぶんぶんと首を横に振る。
心なしか頬が熱いのはなぜだろう。
急に智成を意識しだした自分に戸惑う。
「茉緒?」
「な、なんでもない! お仕事お疲れ様。い、行こうか」
智成も怪訝な顔で首を傾げて焦った。
早口でまくし立てて先を行こうと体を翻すと手首を掴まれた。
「なに照れてんだよ、こっちまで照れるだろ」
智成も視線を泳がせ照れているのをポカンと見てしまった。
貴重な姿に見惚れてると、掴まれた手が解放され素早く指を絡ませ繋がれる。
ドキドキしてつい俯くと智成が耳元で囁く。
「そんなかわいい反応すんなよ、キスしたくなるじゃんか」
「ちょっ! やめてよ公衆の面前で!」
思わず顔を上げて抗議すると、照れてたはずの顔はすっかり意地悪な顔になってにやりと笑う目と合った。
いつもの智成のその顔になんだがホッとして肩の力が抜けて笑った。
意地悪な顔にホッとするとか私はMっ気でもあるのだろうか? ちょっと認めたくないな。
ふふんと笑う智成は機嫌よく私を伴い歩き出す。
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