鬼麟
けれど、許してはくれないだろう。生きているのが嫌になりながらも、早々に死ねないという事実には、脳味噌が焼き切れてしまうほどに悔やんでいるというのに。
いっそ今すぐにでも死ねたなら楽なのに、そうはなれない自分を納得させるしかない。
「あと1年もないから......」
そう誰に言う訳でもない呟きは、人々の喧騒によって掻き消されて霧散する。
「助けてよ......誰でもいいから」
口内に押し止めた乞い。それが誰かに届いて欲しくないと思っているのは他でもない、自分自身である。
落とし前をつけなければいけないのは私だ。もう少し我慢すればいいだけのことであり、情けなく惨めにも誰かに縋るようなマネをしたいわけでもない。
夜の街はどうしてこんなにも明るいのだろうか、と嫌悪感と羨望に塗れながら胸中で吐き捨てた。
*
目の前にいるのが本当に女子高生なのか、時折疑ってしまうことがある。喉元に刃物を突き立てられているような錯覚と、体感温度が下がったことに対してそう考えてしまうのも仕方がないだろう。
生唾を飲み込むのでさえも緊張する中、彼女の言葉を待つ。感情を置き忘れてきたその表情に、後ろめたさに手汗が滲む。
「玲苑を、使っていたとはね」
彼女が発するのは生徒のものではなく、お嬢として、組の者としての言葉だった。
憶測の範疇を超えないものの、どこか確信めいたその物言いに納得する。
内心では疑問とともに、傷付いていることだろう。
いっそ今すぐにでも死ねたなら楽なのに、そうはなれない自分を納得させるしかない。
「あと1年もないから......」
そう誰に言う訳でもない呟きは、人々の喧騒によって掻き消されて霧散する。
「助けてよ......誰でもいいから」
口内に押し止めた乞い。それが誰かに届いて欲しくないと思っているのは他でもない、自分自身である。
落とし前をつけなければいけないのは私だ。もう少し我慢すればいいだけのことであり、情けなく惨めにも誰かに縋るようなマネをしたいわけでもない。
夜の街はどうしてこんなにも明るいのだろうか、と嫌悪感と羨望に塗れながら胸中で吐き捨てた。
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目の前にいるのが本当に女子高生なのか、時折疑ってしまうことがある。喉元に刃物を突き立てられているような錯覚と、体感温度が下がったことに対してそう考えてしまうのも仕方がないだろう。
生唾を飲み込むのでさえも緊張する中、彼女の言葉を待つ。感情を置き忘れてきたその表情に、後ろめたさに手汗が滲む。
「玲苑を、使っていたとはね」
彼女が発するのは生徒のものではなく、お嬢として、組の者としての言葉だった。
憶測の範疇を超えないものの、どこか確信めいたその物言いに納得する。
内心では疑問とともに、傷付いていることだろう。