鬼麟
もう一度戻した視線をなっちゃんへと向け、その表情に戸惑ってしまう。睨みをきかせたその瞳の奥は、どこか泣きそうに揺らいでいて、その存在が希薄なものになる。
しかし、その表情はほんの一瞬見せた幻かのように掻き消され、恐ろしく冷えた声音が薄い唇から発せられる。
「……確かにあなた達は人気者かもしれない。けれど、全ての人があなた達に好意を寄せるわけじゃないの。詮索してお友達ごっこなんて、心底気持ち悪い」
優しさなど微塵も捨てた言葉の刃に対し、諭すような口調の中に懇願が垣間見えてしまう。冷えた瞳がゆっくりと瞬きをする。
諦めと、隔絶に歪む。
「私はあなた達が大嫌い」
その拒絶の言葉に呪詛でも込められているのか、呆然と殺気によってうまく動かない身体では、小さな背中でさえも追うことはおろか、引き止めることさえかなわない。
“大嫌い”、なんて女の子に言われるのはいつぶりか。達観した自分がその言葉に妙な感覚を覚える。レオもきっと同じことを考えている。それは見ずとも分かってしまうあたり、それほど言われ慣れていないのだ。
こんなのは偏見だとか、あるいは見下した考えなんて捉えられるかもしれない。けれど、正直に言ってしまえば、女の子なんてみんな、寄ってくるものだとばかり考えていた。
今までただそうであっただけだと言われると、それは反論の余地もないことなのだが、今まで見てきた女の子は、化粧を塗りたくり、媚びで自身を固めて、擦り寄ってくるのに少しでも構えば喜びつけ上がる。
しかし、その表情はほんの一瞬見せた幻かのように掻き消され、恐ろしく冷えた声音が薄い唇から発せられる。
「……確かにあなた達は人気者かもしれない。けれど、全ての人があなた達に好意を寄せるわけじゃないの。詮索してお友達ごっこなんて、心底気持ち悪い」
優しさなど微塵も捨てた言葉の刃に対し、諭すような口調の中に懇願が垣間見えてしまう。冷えた瞳がゆっくりと瞬きをする。
諦めと、隔絶に歪む。
「私はあなた達が大嫌い」
その拒絶の言葉に呪詛でも込められているのか、呆然と殺気によってうまく動かない身体では、小さな背中でさえも追うことはおろか、引き止めることさえかなわない。
“大嫌い”、なんて女の子に言われるのはいつぶりか。達観した自分がその言葉に妙な感覚を覚える。レオもきっと同じことを考えている。それは見ずとも分かってしまうあたり、それほど言われ慣れていないのだ。
こんなのは偏見だとか、あるいは見下した考えなんて捉えられるかもしれない。けれど、正直に言ってしまえば、女の子なんてみんな、寄ってくるものだとばかり考えていた。
今までただそうであっただけだと言われると、それは反論の余地もないことなのだが、今まで見てきた女の子は、化粧を塗りたくり、媚びで自身を固めて、擦り寄ってくるのに少しでも構えば喜びつけ上がる。