鬼麟
「おいおい、抜けがけは駄目でしょ」
蒼の頭を肘置きにして、悪戯的な笑みを浮かべながら、目が合うと軽くウインクをかましてくる。
「俺は立花 玲苑。よろしくね」
銀髪の髪が揺れ、微かに漂う色気。
そこに綺麗とは思うが、まず先に思うのは、なぜという疑問。
人の話を聞かないのは、こいつも同じらしい。
「ちょっ、レオ。重い、重いよ! 縮んじゃうっ」
人はそんなに簡単に縮まないと思う。
蒼は本当に重たそうに肘を退けようとするが、そんな切実な言葉を意にも介さずに涼しい顔のまま。だが、泣きそうになる蒼にようやく緩慢な動きで退かす玲苑。
漫才がしたいならば、別のところですればいいじゃないかと内心で悪態をついてしまうのは仕方ない。
「人の話、聞いてなかったの?」
嫌悪感を隠すわけでもなく、露骨に前面に押し出しつつそう言うと、目を丸くした。
「え、俺たちのこと知らない?」
まるで知っていて当然だとでも言いたいのか、少し、いやかなり自意識過剰過ぎやしないだろうか。
知らない、と言外に含ませながら私は吐き捨てる。
「私は関わるなって言ったの。正直鬱陶しい」
馬鹿でも分かるように解りやすく、手っ取り早く寄るなと口にする。
けれど二人は全く響いてないらしく、けらけらと笑いながら目を見合わせている。
「僕こんなこと言われたの初めてかも」
「いねぇでしょ、ここらじゃ」
本当に、まったくもって不愉快でしかない。
玲苑は笑いを堪えながら、私と目線を合わせる。身長は確かにデカいけれど、何も屈むことはないだろうに、それは蒼に対する嫌がらせなのか。
蒼の頭を肘置きにして、悪戯的な笑みを浮かべながら、目が合うと軽くウインクをかましてくる。
「俺は立花 玲苑。よろしくね」
銀髪の髪が揺れ、微かに漂う色気。
そこに綺麗とは思うが、まず先に思うのは、なぜという疑問。
人の話を聞かないのは、こいつも同じらしい。
「ちょっ、レオ。重い、重いよ! 縮んじゃうっ」
人はそんなに簡単に縮まないと思う。
蒼は本当に重たそうに肘を退けようとするが、そんな切実な言葉を意にも介さずに涼しい顔のまま。だが、泣きそうになる蒼にようやく緩慢な動きで退かす玲苑。
漫才がしたいならば、別のところですればいいじゃないかと内心で悪態をついてしまうのは仕方ない。
「人の話、聞いてなかったの?」
嫌悪感を隠すわけでもなく、露骨に前面に押し出しつつそう言うと、目を丸くした。
「え、俺たちのこと知らない?」
まるで知っていて当然だとでも言いたいのか、少し、いやかなり自意識過剰過ぎやしないだろうか。
知らない、と言外に含ませながら私は吐き捨てる。
「私は関わるなって言ったの。正直鬱陶しい」
馬鹿でも分かるように解りやすく、手っ取り早く寄るなと口にする。
けれど二人は全く響いてないらしく、けらけらと笑いながら目を見合わせている。
「僕こんなこと言われたの初めてかも」
「いねぇでしょ、ここらじゃ」
本当に、まったくもって不愉快でしかない。
玲苑は笑いを堪えながら、私と目線を合わせる。身長は確かにデカいけれど、何も屈むことはないだろうに、それは蒼に対する嫌がらせなのか。