ミルフィーユ王子はキュン死しそう
「ピアノの椅子に二人で座ると、
ドキドキで指が
とんでもない動きをしちゃいそうだから。
うるるんは、この椅子に座ってね」
私は素直に頷いて、
ピアノの椅子の隣に置かれた
ガーデンチェアに腰を下ろす。
「じゃあ、弾くね」
ゆるっと微笑んだアメリ様に
つい、見とれてしまう。
幸福に包まれながら
「お願いします」と、伝えようとした瞬間
いきなり、私の視界が真っ暗になった。
なに……
これ……
目を開けようと思っても、
まぶたは言うことを聞いてくれない。
ふーっと
だんだん意識が遠のいていき
プツリ。
なにかが切れるような音が
脳内に響き渡ったと思った直後、
私は意識を飛ばしたまま
バタリと地面に倒れ込んだ。