ミルフィーユ王子はキュン死しそう




雨が強くなってきた。



ベンチに座る、アメリ様と桃ちゃん。



その前に立つ私には、

雨が、無数の矢のように襲ってくる。



でも、濡れることは無い。


冷たさも感じない。




そんな私が

血の通っていない幽霊だと気づかされ

心が痛んだのは



「屋根があっても、
 雨が降りこんできちゃうね。

 桃ちゃん、濡れてない? 
 寒くない?」



「大丈夫です」



「傘をさしたら、
 もうちょっと雨が防げるよね?」



エレガントな微笑みを浮かべたアメリ様が、

2人の上に、1本の傘を広げたから。






――相合傘かぁ。



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