猫耳少女は森でスローライフを送りたい
第一章 猫耳少女と森の仲間達
私は、まず住まいを求めて森を探す。
やっぱり、最初は洞窟とかになるのだろうか?
……それだとスローライフというより、サバイバルね。
そんなことを考えていると、頭の上でポヨンとスライムが揺れた。
私は、彼(彼女?)のことを思い出して、頭上のスライムに声をかける。
「私はチセっていうの。あなたは名前はあるの?」
私の頭に乗ったままのスライムが、違う、とでも答えるように、ぷるんと横に揺れた。
「うーん、名前がないんじゃあ困っちゃうなあ。スライム、スライム……スラちゃん、ぽよちゃん、プリン……」
うーんと私が考えていると、スライムが頭の上でぴょこんと跳ねた!
「スラちゃん! チセとスラちゃん!」
スライムが嬉しそうにぷるぷると頭上で揺れる。
名前はスラちゃんで決まったみたい。
すると、なぜか私と頭上のスラちゃんが一瞬ぴかっと光った。
あれ? 何か今光る要素ってあったっけ?
『テイムの派生スキル、【命名進化】を習得しました』
『テイムしたことで、【鑑定】スキルを継承しました』
しかも、変な声まで聞こえる。
どこかで頭でも打ったのかしら?
私は首を捻るのだった。
……ところでスライムってしゃべるんだっけ!?
「チセ、もう少し先に、おうちがあるぽよ」
スラちゃんは、私の疑問にお構いなしに、流暢に話し出す。
混乱で頭がクラクラしたものの、他にアテもないので素直にスライムの言うとおりに進んだ。
すると、私がいる場所からそう遠くない場所に、小屋を見つけた。
家の扉のドアノブに吊り下げられたボードには、『空き家』の文字が。
とはいえ、念のためノックする。
……
……
……
返事はない。
私は意を決して、ドアノブに手をかける。そして、少しだけ扉を開けた隙間から顔を覗かせる。
「どなたか、いらっしゃいますか?」
そうっと尋ねるけれど、中から返事は返ってこなかった。
「……お邪魔、します」
そうっと、その小屋に足を踏み入れる。中は新品そのもの、綺麗だった。
「新品なのに、空き家なの?」
首を捻りながらその空き家の中を調べて歩くと、厨房のそばにある食卓の上に、一枚のメモ書きが置かれているのが目についた。
『チセ、君の新しい人生の門出、そのための贈り物だよ』
なんと、私宛のメッセージだった。
ということは、あの白い空間で会った神様からの贈り物なのだろうか?
「とは言っても、ここがないと、住まいを探して彷徨い歩くことになるしなぁ」
これは神様からの贈り物だと信じることにした。
頭に乗せて連れてきたスラちゃんが、ポヨンと床に飛び降りる。
「ここが君の家になるぽよ。じゃあ、ボクもここで寝床を探すぽよ」
そう言いながら、しばらく衝撃でぽよぽよと体が揺れるのが治まるのを待って、家の探索を始めた。
やがて、ソファとクッションが居心地が良いことに気づいたようで、そこでスラちゃんはうたた寝を始めた。
私はそこを拠点に自活することにした。
厨房へ行けば調理道具が揃っていて。食器もある。
よく探すと、食料も一通り揃っていた。
間取りは大きなリビングダイニング風のフロアに、寝室、浴室、鏡台にクローゼット、姿見など。
なんか、女の子の気持ちがわかっているようなラインナップだわ。
さらにそこはアトリエを兼ねているようで、もう一部屋あった。
扉を開けると、すり鉢やガラス器具なんかの機材が色々揃っていた。
器材はみんなピカピカで、使われた形跡もなかったから、これも私のために神様が用意してくれたものなのかもしれない。
私は、前世の記憶はしっかり残っている。
それに加えて、神様が言っていた『生きていくのに必要な知識と能力』というのが凄くて、まるで頭の中に山ほどの百科事典を収められているような感じなのよ!
だから、私はこの世界に存在する国の全ての言葉を知っているみたい。
不思議なことに、いくつか言葉にしてみたけれど、発声の仕方もわかっているようだった。
どれが食べ物で、どれが毒かもわかる。
薬草がどれで、どう煎じれば薬になるのかも、『知って』いた。
結局、一人で森のアトリエで自活することにして、近くの村や街に薬剤やなんかを売れば、生計が立てられるのではと思ったのだ。
そして、いくらか蓄えを貯めたら、旅に出たい。
そう、ドラゴンに乗って!
……折角、生まれ変わった世界。
神様が約束を守ってくれているなら、私には素敵なもふもふのガードマンだってつくはずだわ!
自由気ままなスローライフ!
それが私の今世での夢だった。
頭の中にある知識に聞いてみる。
すると、私が転生した世界は、赤竜族が国を治める、獣人国だった。
なんでも、昔人間に迫害されていた獣人達の国を作ろうと一念発起した先代の竜族の王様が、人間と魔族との戦いの末に独立を勝ち取った、新興国なのだそうだ。
あれ? そうすると、簡単に竜さんとはお友達になれないのかしら?
だって、王族って、森の中で暮らしている国民と気安く接するような相手じゃないよね?
流石に、背中に乗るなんて不敬よね?
ちょっと残念。
やっぱり、最初は洞窟とかになるのだろうか?
……それだとスローライフというより、サバイバルね。
そんなことを考えていると、頭の上でポヨンとスライムが揺れた。
私は、彼(彼女?)のことを思い出して、頭上のスライムに声をかける。
「私はチセっていうの。あなたは名前はあるの?」
私の頭に乗ったままのスライムが、違う、とでも答えるように、ぷるんと横に揺れた。
「うーん、名前がないんじゃあ困っちゃうなあ。スライム、スライム……スラちゃん、ぽよちゃん、プリン……」
うーんと私が考えていると、スライムが頭の上でぴょこんと跳ねた!
「スラちゃん! チセとスラちゃん!」
スライムが嬉しそうにぷるぷると頭上で揺れる。
名前はスラちゃんで決まったみたい。
すると、なぜか私と頭上のスラちゃんが一瞬ぴかっと光った。
あれ? 何か今光る要素ってあったっけ?
『テイムの派生スキル、【命名進化】を習得しました』
『テイムしたことで、【鑑定】スキルを継承しました』
しかも、変な声まで聞こえる。
どこかで頭でも打ったのかしら?
私は首を捻るのだった。
……ところでスライムってしゃべるんだっけ!?
「チセ、もう少し先に、おうちがあるぽよ」
スラちゃんは、私の疑問にお構いなしに、流暢に話し出す。
混乱で頭がクラクラしたものの、他にアテもないので素直にスライムの言うとおりに進んだ。
すると、私がいる場所からそう遠くない場所に、小屋を見つけた。
家の扉のドアノブに吊り下げられたボードには、『空き家』の文字が。
とはいえ、念のためノックする。
……
……
……
返事はない。
私は意を決して、ドアノブに手をかける。そして、少しだけ扉を開けた隙間から顔を覗かせる。
「どなたか、いらっしゃいますか?」
そうっと尋ねるけれど、中から返事は返ってこなかった。
「……お邪魔、します」
そうっと、その小屋に足を踏み入れる。中は新品そのもの、綺麗だった。
「新品なのに、空き家なの?」
首を捻りながらその空き家の中を調べて歩くと、厨房のそばにある食卓の上に、一枚のメモ書きが置かれているのが目についた。
『チセ、君の新しい人生の門出、そのための贈り物だよ』
なんと、私宛のメッセージだった。
ということは、あの白い空間で会った神様からの贈り物なのだろうか?
「とは言っても、ここがないと、住まいを探して彷徨い歩くことになるしなぁ」
これは神様からの贈り物だと信じることにした。
頭に乗せて連れてきたスラちゃんが、ポヨンと床に飛び降りる。
「ここが君の家になるぽよ。じゃあ、ボクもここで寝床を探すぽよ」
そう言いながら、しばらく衝撃でぽよぽよと体が揺れるのが治まるのを待って、家の探索を始めた。
やがて、ソファとクッションが居心地が良いことに気づいたようで、そこでスラちゃんはうたた寝を始めた。
私はそこを拠点に自活することにした。
厨房へ行けば調理道具が揃っていて。食器もある。
よく探すと、食料も一通り揃っていた。
間取りは大きなリビングダイニング風のフロアに、寝室、浴室、鏡台にクローゼット、姿見など。
なんか、女の子の気持ちがわかっているようなラインナップだわ。
さらにそこはアトリエを兼ねているようで、もう一部屋あった。
扉を開けると、すり鉢やガラス器具なんかの機材が色々揃っていた。
器材はみんなピカピカで、使われた形跡もなかったから、これも私のために神様が用意してくれたものなのかもしれない。
私は、前世の記憶はしっかり残っている。
それに加えて、神様が言っていた『生きていくのに必要な知識と能力』というのが凄くて、まるで頭の中に山ほどの百科事典を収められているような感じなのよ!
だから、私はこの世界に存在する国の全ての言葉を知っているみたい。
不思議なことに、いくつか言葉にしてみたけれど、発声の仕方もわかっているようだった。
どれが食べ物で、どれが毒かもわかる。
薬草がどれで、どう煎じれば薬になるのかも、『知って』いた。
結局、一人で森のアトリエで自活することにして、近くの村や街に薬剤やなんかを売れば、生計が立てられるのではと思ったのだ。
そして、いくらか蓄えを貯めたら、旅に出たい。
そう、ドラゴンに乗って!
……折角、生まれ変わった世界。
神様が約束を守ってくれているなら、私には素敵なもふもふのガードマンだってつくはずだわ!
自由気ままなスローライフ!
それが私の今世での夢だった。
頭の中にある知識に聞いてみる。
すると、私が転生した世界は、赤竜族が国を治める、獣人国だった。
なんでも、昔人間に迫害されていた獣人達の国を作ろうと一念発起した先代の竜族の王様が、人間と魔族との戦いの末に独立を勝ち取った、新興国なのだそうだ。
あれ? そうすると、簡単に竜さんとはお友達になれないのかしら?
だって、王族って、森の中で暮らしている国民と気安く接するような相手じゃないよね?
流石に、背中に乗るなんて不敬よね?
ちょっと残念。