迷いの森の仮面夫婦

「いや、すっごく可愛い。 ケーキより雪穂を食べちゃいたい位可愛い…」

にんまりと不敵に笑う彼の顔を見て、違う恥じらいがこみ上げてきて真っ赤になってしまう。

「もぉ~…!海鳳ったら!」

「おお、それによく見たらリビングもすげぇ!
これ全部雪穂が用意したの?」

こくりと頷くと、海鳳は感心したように飾りに見入ってなでなでと私の頭を何度も撫でる。

「すごい大変だっただろう?嬉しいよ。こんな賑やかな誕生日初めてだ。
それにすごくいい匂いがする!お腹ぺこぺこなんだ」

「今日は頑張って海鳳の好きな物ばかり作ったの。待っててね、ご主人様。今ご用意いたします。」

「喋り方はメイドさんというより執事さんだけど」

くすくすと笑いながらそう言った海鳳をダイニングテーブルに座らせて、頑張って作った料理を並べていく。

正直見た目はあんまり良くないけれど、出てくる料理全てに嬉しそうに声を上げてくれた。
そして何度も「美味しい」と言ってくれて、作り過ぎた料理をいっぱい食べてくれた。
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