迷いの森の仮面夫婦
ニヤリと笑ってそう言う海鳳を前に、思わず顔が真っ赤になる。
一緒にお風呂なんて入った事ないのに…! 改めて明るい所で彼に裸を見られるのは恥ずかしい。 それを想像しながら彼の背中を数回叩く。
…やっぱりちょっと浮かれすぎかもしれない。
「大浴場もあるんでしょう?」
「ああ、ご飯の前に行ってみる?」
「うんっ!行ってみた~い!」
「じゃあ、客室露天風呂は夜って事で」
「もぉ~っ…海鳳えっちだな~~…」
備え付けの浴衣に二人で着替えて、手を繋ぎながら館内を回る。
途中お土産屋さんがあって立ち止まり、海鳳と話している時だった。
「海鳳、職場へのお土産は何がいいかな? やっぱり無難に温泉饅頭? って、海鳳?」
海鳳の視線がフロントの方へ向かっていた。 彼の背中からひょっこりと顔を出し、視線の向かう方に目を向けると
そこには何と桜子さんと陸人さんの姿があったのだ。