迷いの森の仮面夫婦

確かにそれはそうだろう。
雪穂が家を出て行って、二週間。 年が普通に明けた。

両親に正月は帰ってこないのか?と訊かれ、様ざまな理由をつけて断っていた。
そして現在俺は凪咲と都内にある大衆居酒屋で向き合っていた。

「正確にいえば、まだ離婚していない。離婚届けは俺の手の中だ。
なあ、凪咲…お前の所に雪穂から連絡は行っていないか?
どんな些細な情報でもいい…」

「私の所には連絡着ていないけれど…携帯にメッセージいれておく? ま、海鳳が嫌で出て行ったのならば私から連絡があっても返事返さないと思うけど…」

そんな身も蓋もない言い方をしなくっても…。
確かに俺が問題であるならば、凪咲が連絡を取った所で返事は返さないだろう。

「でもどうしていきなり…
あんた達仲良さそうだったのに…あっ!」

「なんだよ。何か知っているのか?!手掛かりになりそうなことなら、どんな些細な事でもいい教えてくれ」
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