迷いの森の仮面夫婦
「そ、そですね。今日はたまたま偶然といいますか、なんといいますか」 何故か言葉も片言になってしまう、それ程緊張していたのだ。
これがアイリーンだとしても、私は海鳳に会えるのが凄く嬉しかったんだ。
自分から身勝手な別れを選んでおきながら、顔を見れば嬉しくなるし、声を聴けば安心する。 側にいれば心がそわそわとして…
まだまだ未練たらたらじゃあないか。どこまでも自己中なんだろう。
「今日は先生に占って頂きたい事がありまして」
「はぁ……あのぉ…ずっと好きだったって言ってた女性の事ですよね」
海鳳は静かに首を横に振る。
「そうではなくって。 先生の所に来たのが最後だった日、結婚したと言いましたよね。
その…結婚した妻との事を占って欲しくて」
私との事?! 何で?!
一瞬動揺したのか、手からタロットカードが滑り落ちる。
変な汗を体中にかいている。 海鳳は神妙な面持ちで、こちらを見ている。