迷いの森の仮面夫婦

「お、奥さんとの事ですよね、具体的にどんな感じで…」

「自分は確かに結婚したのですが、奥さんときちんと腹を割って話してなかったと思うんです。
お恥ずかしい話ですが、考えて見れば俺彼女の事何にも知らないなぁって…
勢いで結婚してしまったので、もっと互いに自分のされて嬉しい事や悲しい事、好きな事や嫌いな事をもっと共有出来れば良かったと思ってて
あ!!別れたとかではないので、勘違いしないで下さいね…」

タロットカードを触る指先が震える。
嬉しい事、悲しい事。 好きな事や嫌な事も、海鳳とじっくり話した事はなかった。

私達の結婚にそういうの関係ないかなぁと思って、聞かれれば海鳳も迷惑すると思って彼の顔色を窺ってばかりいた。

一緒にいるだけでいいと理由を付けて、それをそれ以上望まないという免罪符にしていた気がする。

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