迷いの森の仮面夫婦

適当にテーブルを滑らせるタロットカードに、適当な嘘を並べる。 私をジッと見据えた海鳳の視線が、突き刺さる。

いつもふんわりと柔らかく微笑む彼なのに、いつも見せた事のないような顔をしている。
そしてゆっくりと口を開きだした。

「俺は、彼女が例え嘘つきで傲慢な女性だったとしても、嫌いになれないと思います」

「へ?」

思わず間抜けな声が漏れる。

「俺の見てきた彼女は、とっても誠実な人だったから。
それに俺は彼女に救われて、幸せや安らぎを沢山貰っていた。
だから例え彼女が嘘をついていたとしても、今更嫌いにはなれません…
今の俺にはどうしても必要な人になっていたんです」

海鳳のまさかの言葉に、声が出ない。 ごくりと生唾を呑み込んで、私をジッと見つめる彼の綺麗な瞳だけを見つめていた。

それってどういう意味…?
海鳳にとって私は必要なの?
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