迷いの森の仮面夫婦

「アイリーン先生とは何故か話しやすいなぁと思ってたけれど、まさか雪穂だったなんて全然気が付かなかった。
雪穂と結婚した後も一回会ってるのに…
どうして気が付かなかったんだろう…」

「海鳳、本当にごめんね。 …騙すような事しちゃって」

「いいよ。もう許す。 だってそのお陰で雪穂と結婚する事が出来たんだからっ」

二人でこそこそと話していると、またごほんと咳払いが聞こえてくる。
愛莉が私達を見つめながら、笑っている。

「本当に世話のかかる二人ね。 早乙女先生は、占い好きのナースさんにここの占い館の口コミを広げておいてくださいよ。
早乙女先生が宣伝したら人気出そうだし。
後、雪穂。
私のタロットはやっぱり当たるでしょう?」

不敵な笑みを浮かべる愛莉の顔を見て、思わず吹き出しそうになる。
月の逆位置のカードの事を不意に思い出す。
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