迷いの森の仮面夫婦
第九章 ラスベガスの夜明け

第九章 ラスベガスの夜明け




互いの想いが通じ合って三ヵ月後、私達は少し遅めの新婚旅行に来ていた。
始まりの場所、ラスベガスだ。

実は一ヵ月前から私は早乙女クリニックに再就職した。  海鳳と別れるつもりで幕原病院を辞めてしまった所で、凪咲さんから是非と声をかけて貰えたからである。

再就職して一ヵ月で新婚旅行で休みを貰うなんて申し訳ないけれど、身内のクリニックだから気を遣わずにいられるのも利点だ。

「あの時は全然観光も出来なかったしね~~~っ
グランドキャニオンとか行ってみたかったんだ」

「雪穂の行きたい所どこにでも付き合うよ」

ネットで調べた情報をスクリーンショットしていた。
余裕が持てるように今回の旅行は一週間を予定していた。

二度目のラスベガス旅行。しかも新婚旅行で
私達はたっぷりと休みを謳歌した。

海鳳を追いかけて初めてやって来たラスベガスは右も左も分からない貧乏旅行だった。
しかし今回は違う。
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