迷いの森の仮面夫婦
「ここに、よく当たる占い師がいるって聞いて……
えっと、坂上マキ先生だったけな?」
「すいません、坂上マキ先生は月曜日と火曜日にしかやっていないんですよね。
それにとても人気の占い師さんなので、予約まで半年待ちで…
申し訳ないんですけど…」
話し途中で思わず愛莉の腕をぐいっと引っ張り、一応控室になっているカーテン裏へと引っ張り込む。
「な、なにすんのよ?!お客さん来てるけど?!」
彼女から強引に顔を覆うベールとかつらを引っ張り上げると、自分の頭に被らせて中にある姿見で顔を整える。
「ちょっと!雪穂っ!」
「お願い!ちょっとだけ貸して!
あの人海鳳さんなのっ!こんな偶然もうないと思う。」
「はぁ?!…けれどあの人坂上先生の占い目当てで来たみたいだったけれど…」
「そこは私が何とかするからっ!だからお願い!
相当酔っぱらってるようだし、私だって絶対バレない!これはチャンスよ!
報酬は勿論全部愛莉にあげるし、お礼に何でもするから!」
「って、あんた占い出来ないでしょーが!」