迷いの森の仮面夫婦

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「早乙女先生、雪穂さん、ご結婚おめでとうございます!」

二月某日、大安。

都内のチャペルで結婚の誓いをした後、私と昨日夫になったばかりの海鳳は皆から祝福のフラワーシャワーを浴びていた。

彼の腕を組みながら、ゆっくりと階段を一段一段降りて行くと、どちらともなく目が合った。
そうして私達はまるで’今世界で一番幸せなのは自分たちなのだ’と言わんばかりに笑うのだ。

「雪穂さん、海鳳の事をよろしくね。
海鳳ったら全然しっかりしていないんだから、雪穂さんみたいなしっかり者の女性を伴侶として迎えられて本当に幸せよね。
ねぇ、あなた?」
「ああ、雪穂さんとても綺麗だよ。
これからも海鳳をよろしく頼むね。
何分自分の好きな事を自分勝手にやっているような男なんだから」

海鳳のご両親は、都内で早乙女クリニックを経営している医師家系だ。

ご両親二人ともお医者様、そして海鳳自身も幕原(マクハラ)中央総合病院で内科医として勤めている。

その海鳳の双子の姉である凪咲(ナギサ)さんも女医さんだ。紛うことなき、医師家系で間違いない。
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