迷いの森の仮面夫婦

「本当に、ごめん…。雪穂には嫌な想いさせてるよな。
もし職場に居づらかったら仕事は辞めてもいいんだよ。 雪穂一人位食わせてやる甲斐性はあるつもりだ。
それに仕事が好きだって言うなら、雪穂位頑張り屋さんならいくらでも条件のいい所を紹介してあげれるし」

海鳳の言葉に大きく首を振る。

「ううん、私そういうの全然平気だし。
仲の良かった人達にはきちんと認められてるしね。
毎日どうやって早乙女先生の事ゲットしたの~ってからかわれちゃう位平気だから気にしないでね。
分かってくれる人だって沢山いるの」

それも事実だ。  海鳳との結婚を公表してから、私は幕原病院で一躍時の人となった。
勿論僻みややっかみなんかもあるけれど、身近な人達は祝福してくれている。

それに誰かに何かを言われるのなんて想定内だった。 何かを言いたくなる人達の気持ちも分からなくもない。
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