迷いの森の仮面夫婦

「早乙女さんが幸せならば、私はそれでいいと思います。」

「ええ、今日は占いをしにとは言うよりか…先生に結婚報告みたいになっちゃったな…。
もしかしたら自分はもうここには来ないかもしれないです」

「そうですか、実はちょうど私も占い師を辞めようと思っていた所なんです」

「そうなんですか?!」

「ええ、実家の両親に帰って来いと言われたので。
けれど私はいつまでも早乙女さんの幸せを願っていますね。
今まで沢山辛い思いもしたと思います。 だからこそ、これからは早乙女さんに幸せになってもらいたいです」

「先生、ありがとございます。 俺占いなんて信じた事なかったけど、何故か先生の占いだけは信じれたんだよな。
占ってもらっていたというよりは俺の愚痴を聞いて貰ってただけな気がするけど」

そう言って海鳳は占いもせずに、私にただ結婚報告をしただけで帰って行ってしまった。
重く圧し掛かる罪悪感。

もう会わなければ、正体がバレなければいい。 そう思いながらも自分の罪に蓋をしていた。

自分で決めて、行動を起こした。 そして自分の夢を叶えた。  それなのに私は少しだけ後悔をし始めていた。
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