言いましたが、 違います‼︎
1-3
「それも横からかっさられるけどな」
2人の団結に水を刺す翔さんを2人で睨む。
翔さんを鼻で笑いながら
「何だかんだ言って男はみんなマザコンだから。かっさられても問題ないわ」
と自信満々に言う。
「確かに。よく聞きますよね。
病気の母よりも仕事を優先した父を恨むとか、愛し合ってたはずなのに新しい女を連れてきてお母さんだよとか言って父を恨むとか。
お母さん大好きだからこその反抗ですからね。あるあるですよね」
男たちの動きが止まった気がしたが、“やり返すなら今”と会話を続ける。
「気持ちはわからなくもないけどねぇ」
「でも、仕事しなきゃ、助かるお母さんの治療費も払えないんですよ」
「仕事しながら、家を維持するなんて至難の業だしね」
「病気が治っても、夫が無職なんてありえないでしょ‼︎」
「確かに‼︎また病気になりそうよね。この子達を産んだ時だって、いたってなんの役にも立たなかったしね」
和さんが項垂れる。飛んだとばっちりだろう。
「お前、医者だろ?」
「当時は外科医だったんです。今だって産婦人科は専門外ですよ」
男たちが小声で慰め合っている。