言いましたが、 違います‼︎


すでに夢の中の慎太郎。

でも、あと数時間でお腹が空いた!と起き出してしまうので、今のうちと自分達の事を済ます。

もう少し時間を頂戴!
これだけでいいの、数分で終わるから待ってて!

その願いも虚しく慎太郎がぐずり出す。

三枝さんオススメのボトルウォーマーからミルクを取り出せば、すぐにご機嫌に飲み始める。

「今日は楽しかったねぇ」

みんなでワイワイくだらない事を話し、笑い、食べる。
今までの人生を振り返って「楽しかった」と心から思えた時間があっただろうか?

出会いを打算し、少しでも自分に有利になる様に振る舞う。

それが当たり前だと思っていた。

友人と会うには情報収集の為だったのではないか?
誰かに愚痴りたいとか、自分を良く思わせたいとか言う考えなしに人と会った事などあったのだろうか?

窓から微かに見える夜空を眺めながら、思い出す。

永太郎が和さんや翔さんを友人と言うように、なんの損得もなく、ただ純粋に楽しむ時間を共有するだけの友人がいるだろうか?

「なーに、物思いに耽ってるの?」
「別に」
「もうじき飲み終わるから、変わるよ」

< 102 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop