言いましたが、 違います‼︎
永太郎がそう言ってくれたけど、慎太郎の重きが手放せなかった。
「今日は楽しかったね」
呟くように言う。
「そうだね」と永太郎が同意する。
「考えてたの」
思い出しながらゆっくり話し出す私に、永太郎は「うん」とだけ言った。
「慎太郎を預かってすぐに、困っている時に頼ったのは、友人ではなく、会社だったなぁって。誰か子供がいる人がいるはずだって」
「きっと普通なら親とか友達に連絡するのに、私は会社を思った。
それってなんなんだろうね」
慎太郎がミルクを飲む音だけが響く部屋。
でも、この沈黙は嫌いじゃない。
「そもそも私には友達なんていたのかなぁって」
「僕もあの2人以外いないよ。会えば遊ぶ人はいても、こっちから連絡とるほどじゃないし」
「あの2人だって連絡してなかったじゃない」
2人で小さく笑う。
「それでいいんじゃない。困った時に損得関係なしに助けてくれる人が見つかった。
それだけでいいと思うよ」
「何かお礼がしたいなぁ」
「今度困った時に手を差し伸べればいいんだよ。損得関係なしにね」
慎太郎ごと私を優しく抱き締めれくれる永太郎。私は自然に身を任せる。
心地よい温かさに時間が止まった。