言いましたが、 違います‼︎


なんなのよ!

何が気分転換に山登りよ!

何が辛くて長い階段を登り切ると、問題も乗り切れる気がするよ!

やな気分になっただけじゃない!

私が何をしたっていうのよ!

ちょっとでもいい男がいれば、手に入れたいって思って何が悪いのよ!

そのために策を巡らして何が悪いのよ!


ズンズンと歩いて行く。


「そこ、左」

後ろから声が聞こえる。

振り向くと、さっきの男が立っている。

「また山頂を目指すなら止めないけど。
今行ったら、山頂に着く頃には日が暮れ始めるよ」

「下山したいに決まってるじゃない‼︎
降りたいんだから、下るんじゃないの‼︎」

男は頭を抱える。

私、何か違った?

「方向音痴の迷子かよ」

額に手を当てがなら、首を振る。

「俺も帰るから、一緒に行くよ」

早い。
きっと山道に歩き慣れているのだろう。

もっとゆっくり歩きなさいよ!

と思っても絶対に言いたくなかった。
だから、必死で着いて行く。
着いて行くのがやっとだった。

絶対に待ってなんて言わない。
絶対に遅いなんて言わせない。
絶対に迷惑だなんて言わせない。

夢中で男の後を歩いて行く。

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