言いましたが、 違います‼︎


「進藤 慎太郎君のお母様でしょうか?」

呼ばれて返事をすれば
「みーちゃ」と慎太郎が私を指差す。

隣にいる豪くんが
「ママじゃなくて、みさとちゃん だもんねー」
通訳をする。

今、それいらないから。

「向こうで慎太郎君と遊んでおいで」

三枝さんが、フォローしてくれた。

園の人も子供の暴露に慣れているのだろう。

ニコッと笑って、「こちらに記入をお願いします」と書類を渡され、書きながら待つように言って立ち去る。

三枝さんに教えて貰いながら記入をしていく。

「ママじゃないんですって‼︎」
「豪くんママが言った苗字と違いましたよねぇ」
「後妻さん?」
「あらやだぁ。略奪婚?」

想像力豊かな方達ですね。

慎太郎を産んだのは私じゃないけど、ここまで育ててきたのは私ですよ!
文句あるの?

「あれなんですかぁ?」

小さな声で三枝さんに聞く。

「この園のボスママ。暇なセレブ妻。
旦那を笠に着てるだけしか価値のない女」

三枝さんも中々言いますね。

「旦那のお母様がこの園長と仲良しらしいわ。だから、先生もあまりキツく言えないみたい」
「ここってこんな感じなんですかぁ」
思っていたのと違う。

そう三枝さんに聞けば、
なんでもここ数年この園から小学受験する子が増えこんな感じになったそうだ。


「ふ〜ん」

一気に興味が失せた。

「なぁんだ。小物が大物を装ってるって事ですね」

さほど大きな声で言ったつもりはなかったが意外に声が通ったらしく、奥様方に睨まれた。

「なにあの子‼︎」
「園長先生に言って入園をお断りして貰いましょ‼︎」

奥様方がわちゃわちゃしている。

「ちょっと」

三枝さんも私を咎める。

「これから通うなら、問題を起こさないの」

大人の対応ってヤツですね。
でも、私売られた喧嘩は買うタイプなんです。

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