言いましたが、 違います‼︎
そんなカオスな私たちを見て、先生が手を差し伸べてくれる。
「慎太郎くん。ママ、今から赤ちゃんを産む為に病院に行くんだって」
大好きなみさこ先生の声に反応して、チラッとみさこ先生を見る。
「ずーっと静かに待ってなくちゃいけないけど、慎太郎くんは出来るかな?
大きな声でおしゃべりもかけっこもしちゃダメなんだよ」
「しんたろうくん できるもん」
お気に入りのリュックサックを開けて、中に入っている絵本を見せてくれた。
待つ準備万端かい!
痛みを堪えつつも、顔がにやける。
ここにいる大人がみんな苦笑いをしているのがわかる。
ふぅと息を吐き
「みさこ先生、このまま慎太郎を連れてきますね」
と言うとみさこ先生も
「それがいいと思います」
と苦笑いで答える。
連絡ノートによく書かれる[ 慎太郎君は一度決めたら]をここでの発揮する。
こうなるとテコでも動かない。
タクシーの運転手さんも先が読めていたようで慎太郎が乗り込んでもいいように準備をしていてくれた。
予約しておいてよかった。
「いってきます」
さっきまで号泣していたのが嘘のように、
元気よくハキハキと先生やバスで待たされている友達に手を振りながらタクシーに乗り込む慎太郎。
この子、やっぱり大物になる気がする。