言いましたが、 違います‼︎
「何これ」
三枝さんが小さく呟いた。
中から出てくるのは、赤ちゃんが生まれる事が書かれた絵本にテニスボール。
慎太郎がいつも使っているストロー付きのコップ、おもちゃのカメラ。
「どう言うことか説明して下さい」
「テニスボールは前に私が永太郎に渡した物です。陣痛時に押す場所をレクチャーした・・・」
沈黙を破って話し出す和さん。
「その時慎太郎も一緒にやったんだよ」
何、ニコニコ嬉しそうに補足してるの!
永太郎を睨む。
「この本は?」
「あぁ、それは俺だ」
と翔さんが思い出したようで話し出す。
「慎太郎が赤ちゃんはどうやって来るのか、聞いて来たから、子供でもわかる本を渡したんだっけ」
「慎太郎、完璧じゃん」
嬉しそうに翔さんが言う。
「永太郎よりも子供を向ける準備が万端だったんですね」
感心する和さん。
「さすが俺の息子」
誇らしげな永太郎。
「バカじゃないの」
と絞り出した声で言う。
隣からはクスクスと笑う声が漏れている。
男たちのついでに三枝さんも睨む。
「あっ、ごめん」
三枝さんは、大人達の声に目を覚ました慎太郎の頭を撫でながら「慎太郎君もお疲れ様」と微笑んだ。
眠そうに目を擦りながらも、みんながいる事に一気に目を覚ますと
「あかちゃん うまれたよ」
と嬉しそうに報告をする。
みんなが笑顔になる。私も釣られて笑顔になる。慎太郎は私の癒しだ。
「よく頑張ったな」
と褒める永太郎。
私はその言葉に被せるように
「お前が言うなぁ」と叫んだのは言うまでもない。