言いましたが、 違います‼︎
心配した和に何度も止まられたが、
使命感に支配されていた僕の耳に雑音にしか聞こえなかった。
だから、和達と会うにですら苦痛だった。
なにもわかっていないくせ。
なにも知らないくせに。
ぬくぬくと温室の中にいるお前達にはわからない。
そんな使命感に燃えていたのは、きっと若さのせいだ。
映し出せば出すほど、自分の心が傷付いていく。
自分はただ映すだけ、そこに住む彼らに手を差し伸べる事すら出来ない。
目の前で傷ついている人を治す事も、飢えて希望を失っている子供に希望を与える事も、この不毛な争いを止める事も出来ない無力さが僕を蝕んでいく。
物が溢れかえっていても、孤独なこの国と
ライフラインすらなくても人と寄り添えるあの国とどちらが幸せなのだろうか?
どちらかが現実でどちらが夢なのだろうか?
ただわかっている事は、戻ってきた時ほど人肌が恋しくて仕方がないとの言う事だった。
そんな時に再会したのが、可奈だった。
鈴也 可奈(スズナリ カナ)とは昔からの知り合いだった。
それぐらい昔かと言えば、既に高校時代には俺たちの視界に入っていた位昔からだ。
男漁りをする様に、常に違う男といる可奈は僕達の中では着飾るアクセサリーのような認識だった。
着飾る必要のない僕達とは交流が少ないものの、着飾る必要のある友人の側にいる女。
そんな認識だった。
大人になった可奈は、孤独を纏う女になっていた。
お互いに孤独を埋めるように肌を重ねた。
そこに愛などなく、連絡先を交換する事もなく、帰ってきては顔を出すBarに現れる可奈と肌を重ね、朝を待たずに立ち去るのが常だった。
そんな関係が続いている中、
僕の心は限界を迎えた。