言いましたが、 違います‼︎
3
電車に乗り込み座った瞬間、体が急に重くなる。
「おい、乗り換えるぞ」
男の声がする。
わかってるわよ、ちゃんと調べて来たんだから。
「次はどこで乗り換えるんだ?」
「立川だけど、あんたに関係ないでしょ」
「眠いんだろ。起こしてやるら、それまで寝てろ」
「大丈夫よ。ちゃんと調べて来たから。でも、そんなに起こしたいなら起こさせてあげる」
ふっと鼻で笑われ「変な女」と言われた気がした。
こんな軽快なやりとりをしたには初めてだった。
気を使わない会話っていつぶりだろう。
「次、立川だぞ」
起こされる。
一気に目が覚めた。
「あんた、いつまで着いてくるのよ‼︎」
男は目を丸くし、私の顔を見る。
ブッと笑い始める。
「目覚めの第一声がそれ?」
「本当に変な子だね」
あぁ、可笑しい。
目に涙を溜めながら笑わないで欲しい。
普通に考えて、警戒するには当たり前の事。
特に私は可愛いから、小さな頃から気をつけるように言われて育った。
知らない人には着いて行かない事。
人の無償の優しさには気をつける事。
素性のわかる人以外に住んでる家を教えない事。