言いましたが、 違います‼︎


電車に乗り込み座った瞬間、体が急に重くなる。

「おい、乗り換えるぞ」

男の声がする。

わかってるわよ、ちゃんと調べて来たんだから。


「次はどこで乗り換えるんだ?」
「立川だけど、あんたに関係ないでしょ」
「眠いんだろ。起こしてやるら、それまで寝てろ」
「大丈夫よ。ちゃんと調べて来たから。でも、そんなに起こしたいなら起こさせてあげる」


ふっと鼻で笑われ「変な女」と言われた気がした。

こんな軽快なやりとりをしたには初めてだった。
気を使わない会話っていつぶりだろう。

「次、立川だぞ」

起こされる。

一気に目が覚めた。


「あんた、いつまで着いてくるのよ‼︎」

男は目を丸くし、私の顔を見る。

ブッと笑い始める。

「目覚めの第一声がそれ?」

「本当に変な子だね」

あぁ、可笑しい。

目に涙を溜めながら笑わないで欲しい。
普通に考えて、警戒するには当たり前の事。

特に私は可愛いから、小さな頃から気をつけるように言われて育った。

知らない人には着いて行かない事。
人の無償の優しさには気をつける事。
素性のわかる人以外に住んでる家を教えない事。

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