言いましたが、 違います‼︎
5-1
「もういいから」
ほら、両手を差し出す。
「赤ちゃんを私に渡す。あんたは荷物を持つ」
今度は私の番。
「ほら、行くわよ」
すぐ隣の私の家へと向かう。
玄関の扉を開けようとすると、
永太郎が隣に来て玄関を開けてくれた。
「お隣さんだったんだね」
呑気に辺りをキョロキョロしている。
なんかムカつく。
荷物を置くとソファに座ろうとする。
「あんたはさっさと部屋を掃除して来なさい‼︎いい、埃ひとつない状態にしなさいよ‼︎」
呆然と立ち竦む永太郎に
「早く‼︎その間、預かるだけだからね」
と急かす。
永太郎は兵士の様に敬礼をし、家を出た。
赤ん坊と二人。
「ここまま寝ててね」とゆっくりとソファの上に置こうとした瞬間、パチっと目を覚ました。
「マジ」
私の顔を見た瞬間、顔を歪ませ泣き始める。
「あぁ、泣かないで。お父さんがお家を掃除している間大人しくしててね」
急いで抱き上げあやすが泣き止まない。
「何?どうした?」
赤子に言っても無駄だと分かっていても、
今まで赤ん坊を抱いたことすらない私は、すでにパニックだ。
ママ!ママに電話で聞かなきゃ!
と、赤ん坊を抱きながらなんとかスマホを取り出す。